家事の経済学・5

兜先生「政治経済の教科書には,『経済活動とは』が書かれている。ななみちゃん,読んでみて」

ななみ「はい。私たちが日々生きていくためには,経済活動を行うことが必要である。経済活動には,財やサービスなどを作り出す生産活動,生産された財やサービスを生産要素の所有者に所得として分ける分配活動,分配された所得を支出する消費活動の三つがある」

兜先生「はい,ありがとう。まず,経済活動は日々生きていくために必要であると述べている」

ななみ「毎日生きていくのは家の中でも必要なのね」

上田「確かに。食事ひとつとっても,大事な経済活動なんだ」

兜先生「家計簿を付けるまでもなく,日々の支出はありそれを管理するのも家事の一つ。小さいながらも家を守るということは,経済活動をきっちりしているんだな」

二階堂「ゴミの捨て方は環境問題に,税のあり方は国税に関わる一方,個々人の生活にも響いてきますね」

兜先生「最近ではパートと扶養家族の問題が浮上している」

ななみ「お母さんから聞いたことあるわ。知り合いの人がパートしていて,年収の上限がどうとか」

スギタ「どうとかじゃ分からんじゃないか。いい加減だな」

ななみ「だって,そんなこと私に関係ないもん💢」

兜先生「年間の収入が106万円,月収が8万8千円を超えると夫の扶養から外れ,社会保険料が掛かるという仕組みなんだ」

ななみ「それがそんなに大変なことなんですか?」

兜先生「パートでの収入が増えても,扶養から外れると保険料を払わなければならなくなる。すると給料が増えた分保険料で引かれるから,実質手取りは減ってしまうことがあるんだな」

ななみ「えーっ。そんなことあるんですか」

兜先生「実際に起こり得ることだね」

上田「何とかなりませんか」

兜先生「今すぐ解決はしない。けれどもこれからの社会を作って行くのは君たちだ。経済学には家庭内のことから見るミクロ経済が,こうして企業や税のことまで関わってくる。マクロな世界へと飛び出せるんだ」

スギタ「マグロは外洋で泳ぐけどな」

兜先生「スギタ!!」

スギタ「ひぃー💦ごめんなさい」

兜先生「家事の経済学は経済を学ぶ上でひとつの切っ掛けになった。これからもさまざまな視点を持って学んでいこう」

一同「はい」

兜先生「では今日の授業はこれまで」