家事の経済学・1

兜先生「おや,スギタ。今頃昼ご飯か?」

スギタ「学校で昼休みに進路指導の先生に呼ばれて昼飯食い損なったんです」

兜先生「それで今頃昼ご飯か。そりゃ気の毒に。でも授業までには済ませるんだな」

スギタ「げーっ。なんじゃーこりゃー」

兜先生「どうした,腐っているのか」

スギタ「腐ってるくらいなら食っちまいますよ」

兜先生「じゃあ何なんだよ」

スギタ「お袋のやつ,手抜きしやがって」

兜先生「どういうことだ」

スギタ「この夕飯,じゃなくて昼飯。昨日の残り物だぜ」

兜先生「贅沢な。作ってもらえるだけでも感謝しなさい」

ななみ「このメンチカツ,美味しそうじゃない」

スギタ「どこが。昨日の夜はソース掛けて食べたんだぜ」

ななみ「ちょっと待ってよ。このメンチ,甘辛く味付けしてあるじゃない。お母さん,ひと手間入れてくれてるわ」

スギタ「ふん!たいした仕事じゃないわ」

ななみ「もー,怒ったわ💢お母さんの代わりに成敗してやる」

スギタ「ひぃーε=ε=ε=」

兜先生「こらこら,ななみちゃん。暴力はダメだよ」

ななみ「だってぇー」

兜先生「それにしてもスギタ。お母さんの料理がたいした仕事じゃないと言ったね」

スギタ「言いましたよ」

兜先生「ほう。本当にそうかな。よし,いい機会だ。今日の政経の授業はミクロ経済の勉強だ」

スギタ「ミクロ?俺はそんなに小っちゃくないぜ💦」

兜先生「まあまあ,そうあわてるなって。さあ,授業始めるぞ」

つづく