不安との戦い

高遠「先生,今回は試験を受けるのが恐いんです」

塾長「どうした,やけに弱気だな。今回はいつも以上に頑張っていたじゃないか」

高遠「だからこそ不安なんです」

塾長「不安の原因は何かあるのかな」

高遠「今までよりも時間を掛けて準備してきただけに,結果が伴わなかったらって考えると恐くなるんです」

塾長「なるほど。きちんと準備をしたからこその不安なんだな」

高遠「これだけやって来たのに,もし試験で失敗したらと思うと不安だらけになるんです」

塾長「試合前の気分かな」

高遠「近いものはあります。でも,2年生まではこんな気持ちにはなりませんでした」

塾長「不安と不満の違いは分かるかい?」

高遠「何となく…。不安は恐い,不満はイライラ…かな?」

塾長「そうだね。感情としての不安は自己に対するもの。不満は他者に感じるものだね」

高遠「不安は自己への感情ですか」

塾長「そう。自分に対するものだけに,なかなか見えにくいものなんだ。だから不安は増幅することがある」

高遠「なるほど」

塾長「けれども不安を感じられるということは,それだけ努力を積み重ねたこと。失敗を恐れずに自分の実力を確かめてきなさい。人生の中には何度か勝負所があるもの。そのひとつの試練が今回なんだ。為せば成る為さねば成らぬ何事も」

高遠「どういう意味ですか?」

塾長「強い意志をもってやれば,必ず成就するという意味だよ」

高遠「う~ん。頑張ってみます」